まずは大きな枠組みとして、中学に合格するということを考えてみましょう。
合格の定義とは、算数、国語、理科、社会 4教科の合計得点が、
その中学校の合格最低点、もしくはそれを1点でも超えることです。
配点という観点からみても、誰もが目指すような人気校・難関校では社会の配点は大変大きくなっており、
算数、国語と同じ配点か、3/4程度の配点になっている中学が数多く存在します。
そして、人気校・難関校以外の中学校でも、
算数・国語と社会の配点は同じになっているところも多々あります。
つまり、ほぼ全ての受験生は、社会を絶対におろそかにしてはいけない教科なのです。
その上で、下記のデータを見てみましょう。
●中学受験試験結果における
「合格者最低点」と「受験者平均点」の比較
学校名 | 満点 | 合格者最低点 | 受験者平均点 | 合格者最低点と 受験者平均点の差 |
---|---|---|---|---|
鴎友学園女子中学校 (第1回) |
400 | 247 | 245 | 2 |
栄光学園中学校 | 240 | 150 | 145.1 | 4.9 |
市川中学校 (第1回/データは男子のみ) |
400 | 235 | 229.9 | 5.1 |
渋谷教育学園幕張中学校 (第1回) |
350 | 176 | 169 | 7 |
駒場東邦中学校 | 400 | 252 | 243.1 | 8.9 |
こちらは、首都圏の人気中学の「合格者平均点と受験者平均点の差」を表にしています。
表の一番右の部分をみれば分かる通り、合格する子、不合格になる子の差は、2点~8.9点であり、
問題数にしてほんの2~3問、こんなレベルの戦いなんです。
その上で再確認してほしいのは、算数や国語で1点多く取ることも、社会で1点多く取ることも、
総合点で考えれば、どちらも同じ1点なのです。
つまり入試本番で、正答率が5%以下の算数の応用問題や、
国語の難解な記述問題が書けたとしても、
社会の基本的な重要キーワードたった1個が答えられなければ、
志望校に落ちることもあるのです。
3分で覚えることができる、たった1つの社会重要キーワードの暗記が後回しになっただけで、
今まで何年も頑張って受験勉強してきたことが報われないとしたら、これ以上に悔しいことはないでしょう。
難易度が違うのにもかかわらず、算数も社会も同じ1点、そして、入試では数点の差で合否が決まっている
という現実、それにもかかわらず、ほとんどの受験生は、固めるべき優先順位をつけ間違えて、
社会を後回しにしてしまっているのです。これほどもったいないことは他にありません。
わたしが長年中学受験で掲げている本質的な戦略、
それは、社会を最初に固めて、志望校の合格最低点を1点でも上回る戦略です。
合格してしまえば、ギリギリだろうが関係ありません。
とにかく、合格最低点を1点でも上回ることにこだわってみましょう。
社会という教科はたかが暗記科目で直前期に仕上げれば良いと軽く考えていた方もいるかもしれませんが、
この事例をみれば分かるように、合否に直接影響するような大切な教科なのです。
- 得点を固めるのに一番時間がかからない社会を後回しにしていて、
現在も社会の偏差値が60未満の場合、社会に時間をかければ
4科の総合点はまだまだ伸ばすことが可能だから。 - 算数や国語にばかり時間を割くのではなく、算数や国語にかける時間を少しでも
社会に割いて、「4科の総合点を早めにあげていく」ことが合格への近道だから。
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