中学受験は偏差値ではなく過去問との相性で志望校を考えてみる

中学受験では、多くの場合小学校6年生の夏休み前くらいには志望校決定をしておくことが望ましいとされています。首都圏はたくさんの学校があり、どこも魅力的な取り組みをしているため志望校で悩む家庭は少なくありません。思うように志望校が決められないとき、何を基準に志望校を絞ればよいのでしょうか。

校風や取り組み、カリキュラム、進学実績、家からの距離、宗教教育、共学か男女別学…。志望校を決める条件はたくさんあります。そして家庭によっても優先順位はバラバラです。これらの要素以外に志望校を感ガル基準となるものに「過去問」があります。

過去問は中学受験でとても重要視されるものです。しかし、偏差値よりも過去問との相性で志望校を選択するのは決断するのに勇気が必要です。そこで、過去問との相性を踏まえて志望校を選択するメリットや注意点を紹介していきます。

目次

過去問との相性がいいというのはどのようなことか

そもそも過去問との相性がいいというのはどのようなことを指すのでしょうか。大きくまとめると2つの要素があります。

過去問が解きやすい

入試問題というのは学校によって様々なタイプの問題があります。国語なら、知識が中心の学校もあれば、かなり長文の文章題が1問だけ出題される学校もあります。算数も計算問題や一行問題といった基礎的な内容が中心な学校もあれば、大問が4問ほどで1問あたりの配点が高い学校もあり、学校によっても教科によっても傾向は全く違うのです。

このように、入試問題は学校によって問題の出題傾向が全く変わってきます。さらに、人によって得意な科目も違いますし、得点のとりやすい問題のタイプも違います。学校の傾向と受験生の得意なタイプが合致すれば解きやすい問題が出題される可能性が高いです。解きやすい問題が出題されれば、得点がとりやすくなり合格しやすいと考えることができます。

得意な単元が出題されることで得点が伸びやすい

中学受験では幅広い単元を学びますが、100点や50点の試験の中にすべての問題を出題することはできません。どうしても単元の絞り込みが必要です。この絞り込みの際に、学校によって出題する単元の傾向と得意な単元が重なる学校を選ぶようにします。

得意な問題が出題されれば得点がとりやすいですし、得意な分野ということで過去問を解いていてもモチベーションを維持しやすいです。知識がすでに入っている場合も多いので、復習の手間が省けて効率的に勉強することもできます。

中学受験では、なぜ偏差値よりも過去問の相性を考えた方が良いのか

受験では多くの場面で信頼される偏差値ではなく過去問との相性を考える方が良いのでしょうか。その理由を3つ紹介します。

中学受験における偏差値表は一般的な指標だから

中学受験では偏差値表を参考に志望校を決めていきますが、偏差値はひとつではありません。複数の塾から偏差値表が作られており、数字もバラツキがあります。これは、模試を受験している生徒の層が異なることが理由です。模試も受験者層と志望校の受験者層が合致するとは限らないため、偏差値表の数字が正しいとは決して言い切ることはできません。

また、偏差値表は80%偏差値とされているものが一般的です。誤解されやすいですが、これは合格する可能性が80%というわけではありません。例えば80%偏差値が50の学校というのは「この学校を100回受験して80回合格することができる生徒の偏差値が50」という意味です。実際に受験する回数には限りがあるので、80%となっているからといって合格する確率も80%とは言えないのです。

中学校によって過去問には特徴があるから

偏差値表の数値を算出する模試は、どの学校の問題にも対応できるようにオーソドックスな内容で問題が作成されるのが一般的です。それに対して私立中学の入試問題は学校ごとにカラーを打ち出しています。そのため、模試の成績があまりよくなかったり模試での合格率が50%程だったりしても必ずしも受験で不合格になるとは言い切れません。

自分の得意分野や得意なパターンの学校を選べば、模試の結果は芳しくなくても過去問だと複数年解いても合格最低点を下回ることがない、といったケースも少なくないです。偏差値表だけでなく、実際の学校の問題を確認しながら志望校を検討すると選択肢が大幅に広がります。

中学受験の過去問にはその学校が求める生徒像が反映されるから

過去問が学校ごとに特色があるのは、その学校が求める生徒像が問題に反映されているという一面があります。例えば、理系教育に力を入れている学校なら、算数や理科は記述問題が多く出題されたり傾斜配点ではなく理科も100点満点だったりすることもあります。

このように学校が求めている生徒像が反映されているため、過去問の相性がいいということはその学校が求めている生徒像とタイプが合致していると考えることもできるのです。入試問題が解きやすい、点数がとりやすいというだけでなく、将来的に合格して通っても楽しい学生生活が送れたり、6年間で良い成長ができたりすることが期待できます。

過去問の相性で志望校を決める際の注意点

過去問の相性が良いからといって、すぐに第一志望にすることは危険です。志望校を決定するとき、そして決定後には以下のことに気を付けましょう。

塾のカリキュラムをおろそかにしない

誰でも得意なもの、状況のいいものに目が行くものです。特に受験勉強中は合格へのプレッシャーもあり、過去問との相性がいいとなれば「過去問では出題されていないから大丈夫」とか「塾の勉強はしなくても過去問ができているから大丈夫」といったことを考えることが出てきます。

受験する学校は一つではありません。複数の学校を受験するので、一つの学校の過去問だけでなく全般的な知識を身につけられる塾の授業内容はしっかりと学んでおく必要があります。本格的に過去問演習に取り組み始める小学6年生の9月以降も過去問ばかりに取り組むのではなく、一般的なテキストの内容もしっかりと抑えるようにしましょう。

中学校の入試傾向は変わることがある

過去問である程度決まった傾向がある学校も、ずっと同じ傾向の問題が出題されるとは限りません。あるとき突然全く異なるタイプの出題傾向に代わるということもあります。たとえば、国語は物語文2題が出題されていた学校が物語文と説明文が1題ずつ出題されるように変更になったり、社会は公民がほとんど出題されていなかったのに全分野均等に出題されるようになったりすることもあるのです。

このように急な入試問題の変更があると、過去問にばかり取り組んでいると対応が聞かなくなってしまいます。そこで、過去問だけでなく一般的な塾のテキストにも取り組む必要があるのです。

過去問の相性がいい学校はどうやって探すのか

相性のいい過去問が見つかると志望校探しの参考になりますが、そもそも相性のいい過去問の学校を探すことが大変です。どのように探せばよいのでしょうか。

塾に相談してみる

塾の先生たちは過去問についてもある程度目を通していますし、塾から通える範囲にある学校については傾向も把握していることが多いです。そのため、子どものタイプに合う過去問の学校がないかと質問すれば相性の良い学校を教えてもらえることがあります。ただし、「うちの子と相性のいい入試問題」というのはあまりにも漠然としており、塾の先生も判断がしにくいです。また、受験は2科目ないし4科目で行うものなので、1教科だけ相性が良くてもあまり試験での結果は期待できません。そこで、合格するためにはもう少し具体的な戦略が必要になってきます。

塾としても、保護者の意図が明確になっている方が適切な学校を選びやすいです。そこでできるだけ家庭としての希望を含めて伝えるようにしましょう。例えば理科が得意な場合でも、過去問への考え方は以下のようなものがあります。

・理科の考察が得意なので周りと差をつけるためにも記述が多い学校を探したい
・計算問題が得意なので難しい計算がよく出題される学校を探したい
・全分野まんべんなく得意なので配点が100点満点の学校を探したい

このように理科が得意でもその内容によって相性の良さは変わってきます。親子で話し合ってどのような部分で相性がいい問題を選びたいのかということを考えてみるとよいでしょう。

ただ「相性のいい学校を教えてほしい」と聞くのはダメなのか?

塾の先生から見てどの学校と相性が良いと思うか?という質問をしてももちろん構いません。しかし、先に述べた通り、過去問には出題する学校の意図が隠れています。そのため、保護者が希望を挙げることで、塾としてはどのような学校に通わせたいのかという考えを汲み取ることができるので、より保護者の希望に合った学校を提案できるようになるのです。=”” <h3=””>志望校の問題を一通り解いてみるいくつか志望校があり、その中でも第一志望が決められないということはよくあることです。そのような状態になったら、検討している志望校の問題を一通り解いてみて点数がとりやすい学校、相性が良いと感じる学校を併願校として組んでいくのが有効です。

最終的な併願校を決める際、決定打として入試問題の相性で決めることは決して悪いことではありません。塾からも「過去問の様子を見て最終決定するのはどうか」という提案をされることもあります。学校の教育方針や設備、合格実績といったことで併願校を決めかねるときには、過去問を解いた相性を確認すると併願校を決めやすいです。

ただし、一度解いてできないと子どもたちの中で「○○中学は相性が悪い」というネガティブなイメージがついてしまいます。子どもたちは点数が悪い=相性が悪いと思いがちですが、タイミングが早かったために点数が取れなかったという可能性も否めません。そこで過去問の相性をみるために解きたいと思ったら、塾の先生に相談して時期として適切かどうかを確認したうえで取り組むことをおすすめします。

まとめ

今回は入試問題の相性で志望校を決めることについて考えてきました。偏差値表だけでなく、実際の入試問題に取り組んだ結果をもとに志望校を決めることはとても有効な手段です。問題の相性がいいということは学校の理念や方針と家庭や本人の考えが合致する可能性が高いので、検討材料の一つとして考えておきましょう。

しかし、入試問題も突然傾向が変わることもありますし、基礎学力が身についていないと入試問題も解くことができません。過去問の前にまずはしっかりと塾のカリキュラムをこなして基礎学力を身につけておくようにしましょう。過去問に取り組んでみる時期もとても大切なので、塾に相談して決めると安心です。

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