芝浦工業大学附属中学校の偏差値・入試情報|教育理念を独自インタビュー

芝浦工業大学附属中学校の偏差値・入試情報

しばうらこうぎょうだいがくふぞくちゅうがっこう
芝浦工業大学附属中学校
(私立 /  男女共学/ 東京都江東区)

この度は、中学受験生や保護者の皆さまが関心を寄せる、芝浦工業大学附属中学校の教育理念や魅力についてインタビューを行いました。

目次

芝浦工業大学附属中学校の教育理念

中学受験アンサー 編集部:まず最初に、貴学の教育理念や目指す生徒について教えていただけますか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:芝浦工業大学の理念である「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を本校も受け継いでおり、その一環として多くの生徒が芝浦工業大学に進学しています。同様に、社会に学び社会に貢献するために、生徒たちが将来進むべき職業や企業の方々に教育にご協力いただいています。

中高の教育としては、特に技術的な部分に重点を置いています。もちろん人間教育や道徳なども行っていますが、技術的な部分で社会につながっていく部分を中高生の間でどう鍛えていくかというのを重視しています。

本校は、教育において特に工学分野に重点を置き、技術者としての資質を育成する役割を担った私立学校です。もちろん、人間形成や道徳教育といった基本的な中高教育はしっかりと行っていますが、本校の特色としては理工系に特化している点が挙げられると思います。

中学受験アンサー 編集部:ありがとうございます。女子生徒が2021年から共学になったと伺ったのですが、現在、女子生徒はどのくらいの割合で在籍しているのでしょうか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:女子生徒は現在、そこまで多くはありません。先程お話ししたような理工系に特化した教育内容を提供しているため、全体の生徒数に対して、大体男子2に対して女子1という割合で入学していただいています。

中学受験アンサー 編集部:女子生徒も大学に進学するという形ですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:はい、基本的に女子生徒の方が大学に進学する割合は高いです。本校には中高一貫のコースがあり、約6割の生徒が内部進学します。女子生徒に関しては、その割合がさらに高く、約7割が内部進学を選んでいます。

ただし、2021年に中学からの新入生を迎えたばかりなので、その進学率についてはまだ正確なデータがありません。高校からの生徒については、2017年から入学が始まり、その生徒たちは、女子生徒も含めて、比較的多くが大学に進学しています。

中学受験アンサー 編集部:ありがとうございます。では、教育目標に関連して、貴校が求める生徒像についても教えていただけますか。理工系の教育に特化していると伺いましたが、その点を理解した上で入学してほしいということでしょうか。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:その通りです。本校では、理工系の教育が他の分野に比べて難易度が高いと感じることがあるかもしれません。そのため、入学前に教育内容をしっかりと理解して入学していただくことを大切にしています。

芝浦工業大学附属中学校の魅力

中学受験アンサー 編集部:ありがとうございます。次に、学校行事やイベントについてお伺いしたいのですが、学校の行事にはどのような特徴がありますか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:そうですね。学校行事は男子校時代から大きな変更はありませんが、女子生徒が入学したことで、行事にも探究的な要素が加わりました。

例えば、中学2年生が参加する長野の農村合宿では、農業体験を通じて学び、後半では生徒自身が選んだテーマについて探究します。

今年は4つのテーマに分かれ、各グループが4台のバスでそれぞれ異なるコースを進み、さまざまな施設を訪れ、地元の方々と一緒に学びながら考えを深めていきます。テーマには、稲作や農業、林業、地域づくりなどが含まれています。

探究活動の始まりと女子生徒の入学が重なったことで、男子校時代には理系が得意で静かな生徒が多かったのに対し、女子生徒が加わることで、自己表現やグループワークに積極的な生徒が増えました。このような変化が、行事にも新たな特色を生み出しています。

長野の農村合宿の他にも、海外教育旅行があり、アメリカやオーストラリアのコースを選んだ生徒たちは、現地での探究活動を通じて貴重な経験を積んでいます。学校としては、探究活動を通じてコミュニケーションを深め、それを表現することを楽しめる生徒に来てほしいと考えています。

中学受験アンサー 編集部:海外での学びの機会も、生徒たちにとって大きな成長の場となりそうですね。大学の先生が直接指導する「ものづくり講座」についてもお伺いしたいのですが、どのような授業が行われるのでしょうか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:中学1年生から3年生までが参加する「ものづくり講座」では、大学の教授から特別授業を受け、実際に手を動かして学びます。例えば、スパゲッティを使って橋を作る課題や、ロボットを組み立てて競技会を開くなど、実践的な学びを通じて技術や創造力を養います。

これらは、いわゆる「STEAM教育」に関連する内容ですが、特に実際にものを作るエンジニアリングの部分に焦点を当てています。大学の先生から直接指導を受ける機会は、通常の中学校ではなかなか得られない貴重な経験だと思います。

中学受験アンサー 編集部:大学の教授から直接指導を受ける機会は、非常に貴重で特別な体験ですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:はい、そうですね。本校では、長年にわたり高大連携を積極的に行ってきましたが、こうした取り組みが中学生にも広がったのは、附属校ならではの特権だと思います。

中学受験アンサー 編集部:スパゲッティで橋を作る課題はとてもユニークで面白いですね!

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:はい。生徒たちは、大学の先生から講義を受けた後、指示通りにトラス構造を使ってスパゲッティで橋を作ります。もし適当に作るとすぐに壊れてしまいますが、しっかり計算して作り上げると、乾麺のパスタでもかなり重いものを支えることができるんです。

こうした実験を通じて、ものづくりの難しさや、真面目に取り組むことの大切さを学びます。これは芝浦工業大学のキャンパスで行われる行事です。

中学受験アンサー 編集部:こうした体験を通じて、生徒たちの創造力や実践力が養われることは、本当に貴重な教育の一環ですね。最後に、特別授業や「ものづくり講座」以外にも、貴学が力を入れている教育カリキュラムについてお聞かせいただけますか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:2021年に共学になった時点で、カリキュラムに変更がありました。新カリキュラムでは、主要5教科が週4時間しかないことが特徴です。他の学校のカリキュラムを見ていただくと、英語や数学は7時間、8時間というところも多いと思います。

普通、私立ではより多くの授業時間を設定していることが多いですが、私たちは発達段階に合った教育を大切にしているので、先取りは特にしていません。とはいえ、うちの生徒たちは特に数理分野に強みがあるので、早く進めるのではなく、深く学ぶことに重点を置いた教育を行っています。

つまり、「探究」と「SD」がまさに本学の特色であり、目指すべき生徒を育てるためのポイントとなります。中でもSD(自己調整学習)は「Self Development」の略で、私たち先生が授業を工夫し、生徒たちが学習に向かう姿勢を作っていくことが求められます。

私たちは、「たくさん教えれば生徒は伸びる」という神話が間違いだと考えています。例えば、授業時間を増やせば生徒がもっと伸びると思っている先生もいるかもしれませんが、実際には、生徒が伸びるためのアイデア、工夫、方法を先生がどれだけ教えられるかが重要だと考えています。そのため、授業時間を削り、自己調整学習時間を作りました。

最初はその時間を宿題に使うことが多いですが、徐々に生徒たちは「宿題だけではもったいない」と感じるようになり、自分自身でどのように時間を使うかを考えるようになるんです。

この取り組みは、現在中1で2時間、中2で2時間、中3で3時間の自己調整学習時間を設けています。この時間を有効に使うことで、生徒たちは自分の学習を調整していきます。授業の最後には、生徒たちがパソコンを使ってその日の学びを入力し、担任がそれを見える化しています。

これによって、生徒たちに普段の学習以外にも、集中せざるを得ない感覚を持たせます。簡単に言えば、「意欲がない生徒にいくら教えても伸びない」けれど、「伸びる意欲とイメージを持っている生徒は、短い時間でも十分に伸びる」というのが私たちの結論です。

実際、うちの生徒たちはこの時間を非常に有効に使っており、毎年最高偏差値を更新しています。経験学習のサイクルが普通の学習に結びついて成果に繋がっているのだと思います。

中学受験アンサー 編集部:ありがとうございます。非常に効率的な学習方法ですね!

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:そうですね。また、学ぶことはもちろん大切ですが、放課後には部活動に打ち込んでほしいとも思っています。本学では、できない子たちを集めて補習を行うことはあまり行っていません。

私たち先生は、もし授業中に遅れを取っている生徒がいるなら「授業中に伸ばせなかった自分の責任である」という意識を持つことが大切です。そして、その生徒がどうすれば伸びるのかを教えるのが先生の仕事です。放課後も生徒を拘束して教えたから生徒が伸びるというのは間違っていると思います。

中学受験アンサー 編集部:先生たちの考え方にも変化が求められているのですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:私たちのキャッチフレーズは「まず教員が変わる」です。教員が変わることで、生徒たちがワクワクするような、楽しい学校生活や授業を提供したいと思っています。

実は、本校では黒板を使わず、すべてホワイトボードを使用しています。このように、教育環境も常に進化させ、新しい形を追求しています。このような環境を整え、新しい教育の形を目指しています。

教員自身も変わろうとしており、通常の授業でもオリジナルな探究活動を取り入れています。教員が変わり、成長することで、生徒たちの学びにも良い影響を与えると信じています。

中学受験アンサー 編集部:非常に興味深いお話です。先生方が生徒一人一人の成長に真摯に向き合う姿勢がとても素晴らしいですね。先ほどのお話に少し戻りますが、実際に、授業中に遅れを取っている生徒がいた場合は、どういったアプローチを行っているんでしょうか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:そうですね。例えば、生徒たちが教え合ったり、グループで発表したりする時には、「何もやらない」人を作らないように、生徒それぞれに役割を持たせます。それによって、生徒たちは自分が担当する部分を学ぶ責任を持ちます。

また、ICTを活用して、学び方を工夫することで、授業中に遅れを取っている生徒をサポートします。あとは、「学習クリニック」といって放課後に先生ではなく卒業生が学習サポートをする取り組みも行っています。

どれだけ優秀な先生が授業を行ったとしても、全ての生徒にとっていい先生になることは難しいでしょう。生徒が放課後に「学習クリニック」に通うことで、卒業生が自分の経験を元に、具体的な勉強法や工夫を教えてくれるので、とても効果的です。

中学受験アンサー 編集部:卒業生がサポートしてくれるというのは、とても心強いシステムですね。「学習クリニック」は塾に近いのでしょうか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:この「学習クリニック」は塾ではなく、あくまでもテストでうまくいかなかった部分を軽く復習して、次のテストに向けて挽回するためのサポートです。

中学受験アンサー 編集部:他の学校にはなかなか見られない取り組みですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:そうですね。自己調整学習は他の学校でも取り入れているところが増えてきていますが、うちは比較的早い段階から取り入れたことで、いい成果を上げています。共学にしたことで生徒たちに変化があったことも大きかったと思います。

中学受験アンサー 編集部:とても興味深いお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。また、先ほど「放課後には部活動に打ち込んでほしい」とおっしゃってましたが、貴学が特に力を入れている部活動はありますか?

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:当校で特に力を入れている部活動の一つが「電子技術研究部」です。これは、まさに芝浦工業大学らしい部活動で、現在、約170名の生徒が所属しています。実は、この人数は本校の1学年分に相当するんですよ。

中学受験アンサー 編集部:170名というと、かなり大規模な部活動ですね!

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:そうなんです。部活の中には、世界一の称号を持つチームや、日本一の生徒たちもいます。中には、大学生と一緒に活動し、有名なホワイトハッカーとして活躍している生徒など、大きな賞を取る生徒もたくさんいます。部活動では、ロボット制作やウェブデザインなど、多岐にわたる活動が行われています。

中学受験アンサー 編集部:その規模の部活動であれば、生徒たちが教え合いながら成長する機会も豊富にありそうですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:はい。部活動では、指導係の先輩たちが中学1年生に基本的なことを教えています。教員たちの下に経験豊富な先輩たちがいて、先輩たちはプロジェクトを運営し、その過程で後輩たちも学んでいきます。このような指導体制があるため、これだけの規模でもざっくりした部活動にはならず、プロジェクトごとに目標を設定してしっかりと進めています。

中学受験アンサー 編集部:まるで企業のような部活動ですね!そのようなシステムのおかげで、生徒たちは自然に実力を身につけることができるのですね。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:その通りです。部活動がまさに「企業内起業」のようになっており、3年生のプレゼンをもとに実際に予算やプロジェクト計画を立てて活動しています。1年生と2年生はそういった先輩たちの姿を見て目標を作り、自然と実力が身についていきます。

中学受験アンサー 編集部:非常に刺激的な環境ですね。貴重なお話をありがとうございました。

芝浦工業大学附属中学校を受験する生徒・保護者へのメッセージ

中学受験アンサー 編集部:それでは最後に、受験生や保護者の方へのメッセージをお願いします。

芝浦工業大学附属中学校 斎藤先生:もともと、理工系の子どもたちがのびのびと楽しく学べる男子校として存在していた学校ですが、今では探究的な要素や、中学3年生の海外教育旅行(2週間のホームステイ体験)などにも力を入れています。

これまでは、優秀で真面目なエンジニアが求められる時代でした。しかし、今後は、世界で活躍できるだけでなく、チームで協力して仕事を進める力が重要視される時代です。具体的には、コミュニケーション能力や自分の役割をしっかりと果たせる力が重要だと考えています。

ですので、もし理工系の勉強を深めたいという気持ちがあり、グローバルな視点も持ちたいと思っているなら、ぜひ学校に遊びに来ていただきたいと思います。

中学受験アンサー 編集部:貴重なお話をありがとうございました。

取材・執筆:中学受験アンサー 編集部
取材日:2025年1月16日

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芝浦工業大学附属中学校の偏差値

58
(四谷大塚 合不合判定テストの合格可能性80%偏差値より引用)

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