公立中高一貫校受験の適性検査とは?私立中学受験との違い

公立中高一貫校受験の適性検査とは?私立中学受験との違い

中学受験志向の高まりから、公立一貫校人気は全国的に高まっています。今まで中学受験をあきらめていた家庭でも公立一貫校を志望する家庭は多く、倍率もかなり高いです。今後もさらに公立一貫校入試は盛り上がる予想がされています。

これから中学受験を検討する人たちにとって気になるのは公立一貫校が私立中学とどのような点が異なるのか、という点ではないでしょうか。私立中学と同じように中高一貫教育を行っていますが、学校の特徴や入試制度の点で両者には違いがあります。

そこでこの記事では、公立一貫校が私立中学と異なる点がどのようなところなのか、学校の概要と入試制度を中心に紹介をしていきます。また、学校のタイプが異なりますが併願することは可能なのかということについても説明していきます。

目次

公立中高一貫校はどういった学校なのか

公立一貫校と呼ばれる学校には2つのタイプがあります。具体的にどのような学校であり、私立中学とはどういった違いがあるのでしょうか。

公立一貫校のタイプ

公立一貫は中高の6年間で一貫した指導を受けることができるため、私立中学に進学するのと同じような学習環境で過ごすことができます。一貫教育を行っていますが学校のタイプは「併設型」と「中等教育学校」の2種類があり少し違いがあるので注意が必要です。

併設型は名前の通り中学と高校が併設されています。完全な一貫校ではなく高校でも新たな生徒募集がかかるため、カリキュラムも先取りしすぎない内容になっている学校が多いです。中学からの入学者は原則的にそのまま高校に進学することができますが、高校からの募集があるために中学入学時の募集人数が少し絞られています。都立の中高一貫校については併設型が今後減っていく見込みです。

もう一つの中等教育学校は高校からの生徒募集を行っていません。そのため完全に中高一貫した教育が行われています。学習環境も変わらずカリキュラムにも切れ目がないので一貫教育がしっかりと提供されています。

公立一貫校ならではの指導

公立一貫校が人気を集めているのは私立の中学校と同じように学校ごとに指導方針が明確に打ち出されていることです。次世代のリーダーを育てるために、学校がそれぞれに注力するポイントを明確に打ち出しています。英語教育や国際教育を大切にしていたり、理系教育に力を入れていたりといった特化したものがあるため、子どもたちが興味関心のある分野や家庭の方針に合った指導をしている学校を選びやすいです。

公立一貫校の中にはスーパーサイエンスハイスクールや英語教育の推進校に選ばれているという学校もあります。私立中学のように学校の設備にも力を入れている学校も多く、公立の学校でありながらも私立のような教育が受けられるのが魅力です。

公立一貫校と私立中学との違い

どちらも教育に力を入れており、大学入試でも実績を出している学校が多いです。そのため両者の違いはどこかというと一見大きな違いが無いように思えます。公立一貫校と私立中学の違いは大きく分けると2つです。

学費の違い

公立一貫校と私立中学の最も大きな違いといえるのが学費です。公立一貫校は一般的な公立の中学や高校と異なるカリキュラムや環境の中で勉強することができ、私立の中学や高校に通っているような経験ができます。しかし、学校としては公立なので学費は公立の中学や高校に通うのと変わりません。

私立の中学に通うとなると、学費も公立より高額ですし入学する際には入学金や寄付金が必要です。しかし公立一貫校は公立の学校なので中学入学時に特別な費用は発生しません。さらに公立中学は無償化が行われているので毎月の授業料もかからないのです。また、高校入学時に私立の学校の場合には高校入学のための費用が発生しますが、公立一貫校はこれらの費用もかかりません。公立一貫校であれば、中高6年間でかかる学費が3分の1程度で私立の中学や高校に通っているような環境で過ごせるのです。

入試問題の違い

もう一つの大きな違いが入試問題です。私立の中学受験では国語・算数・理科・社会の4教科もしくは国語・算数の2教科で試験が行われる学校が多いですが、公立一貫校は適性検査というものが行われます。そのため私立中学では「受験」と表記しますが公立一貫校では「受検」と表記されます。

公立一貫校の適性検査は学校によっても地域によっても出題形式も様々です。しかし従来の教科型の問題とは異なり教科の垣根を超えた総合的な学力を問う問題が多く出題されています。それ以外にも表現力や思考力を問うために400字程度の作文が出題される学校も多いです。

また、私立中学の場合には調査書の提出がある学校はごく一部ですが公立一貫校の場合には報告書の提出は必須となっていますし選考でも加味されます。学校によって比重は変わりますが、全国的に適性検査と報告書を8対2の割合でみる学校が多いです。私立中学でも倍率が高い学校はありますが、公立一貫校の場合には他にも学校によっては面接や抽選が行われるところもあり、合格するにはかなりの関門を潜り抜けなければなりません。

公立一貫校は私立中学と併願することができるのか

私立中学の受験を検討している家庭の中には、公立一貫校にも興味関心があるという家庭も少なくありません。特に共学に通いたいと思っている家庭や英語教育、理系教育に興味関心のある家庭には魅力的な学校も多いです。私立中学と公立一貫校の併願を希望する際に不安になるのが併願することができるかどうかということです。併願にあたってはいくつかの問題があります。

併願の組み方の問題

まず考えるべきことが併願の問題です。これは特に首都圏入試で出てくる問題ですが、私学の受験日と公立一貫校の受検日が重なってしまうケースがあります。首都圏入試の場合には複数回試験が開催される学校もあり、前日までの合否の状況次第では公立一貫校の受検日に私立の入試日が重なることがあるのです。

そこで併願校を決める際には志望順位の高い学校がどこなのかをよく考えて併願を組む必要があります。公立一貫校の場合には受検のチャンスが1度しかありません。そのため入試日が重ならない他の私立中学と併願することにするのか、もしくは志望している私立中学の入試と重なるようなら公立一貫校の受検はあきらめるのか、どちらにするのか家族の中でしっかりと話合いをして意見をまとめておく必要があります。

特に首都圏入試の場合には毎日合否が出て、その結果で受験する学校も変わってきます。私立中学と公立一貫校を併願するかどうか話し合っても、合否の結果が出ないと判断できないというケースも少なくありません。特に子どもたちは受験(受検)のような合否が出るものの経験値がほとんどなく、実際の入試が動き始めないと自分の意見がまとまらないということもあります。そのため出願までにどうするか完璧に決めておくのは難しいことも多いです。そこで、直前まで迷いたい場合には公立一貫校と私立中学とダブル出願をしておきましょう。

受験(受検)対策の問題

公立一貫校と私立入試では入試問題の出題傾向が異なります。そのため試験対策として両方の対策をしなければならないです。受験前は取り組むべきことも多く、傾向の違うものの対策が必要になるとかなり大変になってきます。

第一志望が私立中学なのか公立一貫校なのかで通う塾やコースも異なってくるので早い段階でどちらが第一志望なのかは決めておくことが望ましいです。第一志望が私立中学ならば私立中学受験対策コースで勉強を、公立一貫校が第一志望ならば公立一貫校対策コースで勉強をするようにしましょう。

最近では公立一貫校コースに在籍していて公立一貫校だけでなく私立中学を受験するという家庭も増えているので、塾も公立一貫校に在籍しながら私立中学の受検対策を行うケースも多いです。塾によっては個別指導やゼミを活用して公立一貫校対策と私立中学対策を並行する場合もあります。塾に通う場合には、併願する場合にどのような対策ができるのかを確認しておくとよいでしょう。

公立一貫校と私立中学は併願できないわけではない

先に述べた通り、公立一貫校と私立中学を併願するとなるとかなりの対策が必要となります。そのため経蔭願することは簡単なこととは言えません。しかし中学受験(受検)のチャンスは1度しかないですから、後悔しないためにもうまく併願する方法を頭に入れておきましょう。

公立一貫校対策を早いうちから始めておく

私立中学の入試問題でも記述問題はありますが、公立一貫校のような400文字程度の文章を書くという作業はほとんど見られません。試験時間内で自分の意見をまとめて長文で書くというのはしっかりと対策をしていないとなかなかできないものです。そこで、併願している場合には早いうちから作文練習は始めておくようにしましょう。

最近では公立一貫校対策の問題集や添削教材といったものも出てきています。こういったものであれば普段の塾の課題と合わせて取り組みやすいです。もしも新たな教材を取り入れるのが難しい場合には日記をつけるだけでも構いません。日頃から文章を書くことに慣れておくと、公立一貫校対策としてとても役立ちます。

他にもニュースを見て日頃から様々な分野に興味関心を持っておくことも効果的です。ただニュースをみるだけでなく、家族で意見交換をするとより一層考えを深めることができますし、多角的にものをみる勉強にもなります。本を読んだり小学生新聞を購読したりするのもおすすめです。

公立一貫校対策が役立つ私立中学を併願する

最近の公立一貫校ブームの流れを汲んで、私立中学の中には公立一貫校の適性検査タイプの入試を行う学校が出てきています。こういった学校を併願すれば私立中学の受検対策の負担が軽減できます。また、多くの学校は公立一貫校の受検日前に試験を実施しているので、模試としての活用ができるのもメリットです。本番前にすでに合格を勝ち取っていると落ち着いて試験に臨むことができ、実力をしっかりと発揮しやすくなります。

併願するリスクは親子でしっかりと話し合っておく

私立中学の受験も勉強したからといって誰もが必ず第一志望に合格できるとは限りません。努力をしても当日体調を崩して思うように結果が出せないこともありますし、実力が届かないこともあります。公立一貫校の受検の場合には、私立中学の受験よりもさらに倍率が高くなり、合格できるのは一握りです。適性検査の内容によっても当日の出来は大きく影響しますし、地域によっては適性検査が良かったとしても抽選で外れてしまう場合もあります。

このように公立一貫校の受検は簡単なものではなく、万全の体制で当日を迎えられたとしても合格できるわけではありません。さらに私立中学の受験も併願するとなるとかなりリスクは高いです。そこで受験(受検)をする前にリスクが高いこと、最悪の場合にはどちらも合格できない場合があることは親子共に理解をしておくようにしましょう。特に子どもたちはっ失敗の経験が少ないため不合格になる、というイメージがなかなかできません。勉強をすれば絶対合格できるといった、過度な期待をさせるような発言は避けながらバックアップすることを心がけることが大切です。また、場合によってはリスク回避のためにどちらかの受験(受検)に絞ったり、抑えの私立中学を検討したりといったことも考えておくようにしましょう。

まとめ

今回は人気を集めている公立一貫校と私立中学の違いについて紹介をしました。大きく違うのは学費の面と入試問題の面です。どちらの学校も特色があり魅力的なので併願をしたいと考える保護者は多いでしょう。併願をすることは不可能ではないですが、リスクが伴うことは親子共に十分に理解して早いうちからしっかりと対策を練ることが必要です。

一度しかない受験(受検)のチャンスなので、親子共に後悔しない併願スケジュールを組むことが大切です。合否の可能性も考えながら、塾の先生のアドバイスや模試の成績、学校見学での印象、親子での意見や考え方など総合的に判断をして悔いの残らない受験(受検)をするようにしましょう。

目次