中学受験の作文問題の最新出題傾向!出題テーマや書き方も網羅

中学受験というと4教科の勉強をするものというイメージが強いです。しかし、最近では公立一貫校を中心として総合力を問われる問題への移行が目立ちます。学校によっては作文を出題する学校も増えており、今後も増えていくと予想されています。

作文は苦手に思っている子が非常に多く、一夜漬けですぐにどうにかなるものでもありません。早いうちから対策しておくことがとても重要です。

中学受験の作文はある程度テーマも絞られており対策をすれば十分対応することができるようになります。そこでこの記事では、中学受験の作文で出題されるテーマや最近の傾向と対策について紹介をしますので是非参考にしてみてください。

目次

中学受験で作文対策が必要になる場面

中学受験の作文にはどのような特徴があるのでしょうか。中学受験の作文というと公立一貫校の適性検査内の出題のために対策がされてきました。そのため、中学受験の際に作文対策が必要なのは公立一貫校を志望する子だけであり、私立志望の子のごく一部は長文記述対策として過去問の中で作文対策をするというのが一般的でした。

しかし、最近では総合力を問う入試問題の作成が進められていたり、私立中学の一部が公立一貫校との併願者をターゲットにした適性検査型入試を取り入れていたりすることで作文対策が必要な生徒の数が増えています。また、作文の試験や適性検査型の入試問題が取り入れられていなかったとしても、学校によっては国語の入試問題の一部に作文が組み込まれている場合があり対策が必要です。

受験する学校がどのような問題形式なのかを確認し、作文が出題されていたり作文に近い長文記述が出題されていたりする場合には作文対策をする必要があります。

中学受験の作文問題の出題傾向

中学受験の作文で出題されるものはある程度テーマが決まっています。近年の出題傾向をもとに、どのようなテーマが出題されるのか大きく4つに分けて紹介していきます。

自分の意見や体験したこと

自分の意見や体験したことというのは、中学受験の作文で最もよく出題されるテーマです。
・今までに最も悲しかった経験とその理由を説明しなさい
・好きな科目は何かとその理由について述べなさい
・友達の必要性について、自分なりに考えた意見を述べなさい

このような形で、物事に対しての自分の意見や体験したことを通して考えたことの理由を述べさせていくのが一般的な形です。ただ何かが起きた、どう思った、ということを書くだけでなく、なぜそう思うのかという根拠まで答える必要があるため、内容としては深さが求められます。

言語

言語というのは、言語にまつわる問いかけであり、自分自身がどのように考えるかということを述べていきます。

・あなたにとって「読書」が与えてくれるものは何ですか。
・「面白い」と思う文章について、あなたの意見を述べなさい。
・言葉づかいというテーマであなたの意見を述べなさい。

このテーマは特に自分自身の体験をもとにする必要はありません。純粋に思っていることを書けばよいのですが、日常的に触れている言葉について、自分なりの見解を持っておくことが必要です。

時事問題

時事問題では、日頃からニュースを見て何が問題なのか、そしてどういう解決策が求められるのかということを自分なりに考え意見にすることが求められます。

・地球温暖化を防ぐために、普段の生活で取り組めることはどのようなことがありますか。
・この1年で気になったニュースとその理由、あなたの意見を述べなさい。
・絶滅危惧種の保護のために、どのようなことが必要でしょうか。

このように問われる内容としては、自分自身でも取り組めるようなものであったり、受験勉強の中で学んでいる内容であったりします。身近な問題だからこそ、何ができるのか、自分がどのような行動をとるのか、ということを答えていく必要があります。

コミュニケーション・社会

社会生活で必要なこと、よりよくするために必要なことについて、自分の意見を述べさせるような質問が出題されています。

・なぜルールが必要なのか、あなたの意見を述べなさい。
・人間関係を良いものにするために何が必要か。これまでの体験を踏まえて述べなさい。
・挨拶は自分自身と周囲の人にとってどのような効果をもたらすでしょう。

日常生活の中で当たり前にしていることに対し、どのような意味があるか、そしてより良いものにするためにはどんなことが必要なのかということを普段から考えていることが必要です。

中学受験の作文で求められる2つの力

中学受験の作文では2つの力が求められます。具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。

基本的な文章の書き方を理解しているか

「基本的な書き方」というのは、文章を書く際のルールのことです。具体的には、段落の書き始めの位置、かぎかっこの使い方といったものを指します。学校でも習うものですし、普段作文を書くときにも使うものですが、意外と正しく覚えられていなかったり、いつの間にか勘違いして覚えていたりすることもあります。

多くの学校の入試では、文章の書き方も点数の要素です。ルールを間違えている部分があれば減点されてしまいます。そのため、定期的に正しく書けているかルールの確認をしておくことが重要です。

論理的に説明ができているか

論理的に自分の意見が述べられているかというのは、もっとも重視されるポイントです。論理的というのは、話の流れが明確であること、自身の経験など例示的に示しているものが自分の意見の後押しとなっていること、内容がきちんと伝わること、という観点から採点がされます。そのため、自分自身で書く経験をすることで論理的な文章を書いていく経験を積むことはもちろんですが、書いた文章を第三者が読んで明確に理解ができるかどうかというチェックもしてもらうことが重要です。

論理的な文章を書くことができるようになるためには文章力を高めなくては、国語力を高めなくては、という印象が強くなってきます。しかし、論理的な文章を書くというのはトレーニングをすれば誰でもできるようになれるものです。きちんと文章を書くトレーニングを積むための時間を取ること、論理力アップに的確な効果のあるメニューに取り組むことで受験勉強の合間にも力をつけていくことができます。

中学受験における作文の勉強方法

では、具体的にどのような勉強をしていけば作文の勉強ができるのかということを紹介していきます。一度にすべてに取り組むことは難しいです。特に公立一貫校と私立入試を並行する場合や、私立入試で作文対策が必要という場合には、通常の受験勉強も合わせて進めることになります。無理をして断念するようなことをせず、できることからぜひ初めてみましょう。

作文を書く経験を積む

「書く実践を積むこと」は誰もが作文対策として思いつくことですが、具体的にどんなものを書くか、どのような頻度で書くかという点は調整が難しいものです。一般的に、小学校6年生から頻度としては週に1度、1つのテーマの文章に取り組むので十分と考えられます。もちろん少しでも早くから取り組むことは問題ありません。経験を積むことによって早くコツをつかむことができ、作文対策だけでなく国語の記述対策のスキルをつけることにも効果を感じられるようになるでしょう。

気を付けるべき点は「書いたら終わり」にしないということです。塾や通信教育の作文講座を受講していれば、書いたものへの添削が行われ、どのように文章を書けばよいのかというアドバイスをもらうことができます。この際、正解の文章を渡されて確認するだけでは力が付きません。科目学習の際に解きなおしをすることが必要なように、作文でも模範解答を参考にして自分の経験や言葉で表現するという作業をすることが重要です。

本や新聞を読む

国語力をつける、作文力をつける、というと本や新聞を読むことが大切、とよく言われます。確かに本を読んだり新聞を読んだりすることは大切なことです。しかし、読んだからといってすぐに作文がスラスラと書けるようになるわけではありません。中学受験の作文対策として本や新聞を読むことは文章力を身につけるというよりは「知見を広げる」ことが目的であることを理解しておきましょう。

作文のテーマになる時事問題や社会問題については知識がないと自分の考えを持つことができません。また、他の作文テーマとなる内容についても自分の経験していないようなことを問われるような場面もあります。本や新聞に触れておくことで背景となる知識を身につけること、自分が経験したことない領域についても知識や意見を持つことができるように文章に触れておくことが大切なのです。

家族で討論する機会を設ける

ニュースを見てどのように考えるかという意見を述べ合ったり、同じ映画や本を読んでどのような感想を持ったか話し合ったり、という機会は作文力を養うのにとても大切なことです。このとき、保護者は子どもに対して「その意見は間違えている」とか「もっと感想で言うべきことあるでしょう」といった否定的なコメントをすることは厳禁です。否定されることは子どもたちの自信を損なう原因になりますし、作文へのモチベーションを下げることになります。

親子で討論をする機会を設けるのは、視野を広げること、書くことへの自信をつけることが目的です。なので、否定をすることは避けて、あくまでも別意見として伝えることで子どもたちに知見の幅を広げさせていくことを考えるようにしましょう。何か意見があるとしても、最初に自分の意見を持つことができたことを評価すること、あくまでもこういう意見もあるよという添える形でのコメントを意識すると、子どものやる気を引き出しつつ意見の引き出しを増やしていくことができるようになります。

まとめ

今回は、公立一貫校を中心として出題されている「作文」の出題されるテーマと対策について紹介をしました。中学受験の勉強をしながら作文の対策もすることは決して簡単なことではありません。

並行して進めていくために、頻出テーマと対策の進め方については早いうちから考えて計画的に取り組むことが大切です。今回の記事をもとに、家庭内で実践できる取り組みスケジュールを検討するようにしましょう。

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