中学受験を有利に進める!併願校の選び方と併願パターンの決め方

中学受験を有利に進める!併願校の選び方と併願パターンの決め方

中学受験をする場合、第一志望の学校は比較的早く決めることができますが、併願校は苦労する家庭も多いと思います。中には併願したい学校が見つからない、第一志望のみの受験にしたいといったことを考える家庭もあります。

しかし、併願校を用意することは受験で第一志望合格を確実なものにするために欠かせないものです。その必要性を理解することで、併願校探しも進めやすくなります。今一度、家族の中で受験について、志望校について考える機会を設けてみましょう。

この記事では、併願校の必要性と共に、選び方、併願パターンの組み方を紹介していきます。もちろん、ここで紹介する通りに組まなければならないわけではありません。参考にして家庭の方針やお子さんの希望に合った理想的な併願を組み、ベストな状態で受験に臨みましょう。

目次

中学受験で併願校はなぜ必要なのか

気になる学校があまり見つからないという人にとっては、併願校の必要性がなかなか理解できないものです。なぜ受験するのに併願校を用意しなければならないのでしょうか。

第一志望の学校で最大限のパフォーマンスをするため

中学受験は子どもたちにとって初めての経験ばかりです。試験に向けて何年もかけて準備をして臨むこと、努力したからといって必ず結果が出るとは言い切れないこと、私立中学の試験会場で問題を解くこと、面接で自分の考えを述べることなど、緊張する場面ばかりです。

そのような試験で誰もが自分の努力の成果を完全に発揮できるとは限りません。そこで、第一志望の合格をつかみ取るために、少しでも子どもたちが落ち着いて試験に臨むことができる環境整備が必要になります。

併願校の合格であったとしても、すでに別の学校で合格をもらっていれば自信を持って第一志望を受験できるようになります。特に近年では第一志望の学校の試験日が複数あるというケースもあります。そのような場合、次の試験までに他の学校で合格を勝ち取っていれば気持ちを切り替えてリベンジに挑みやすくなります。

第一志望不合格だったときに子どものショックを和らげるため

第一志望の合格が叶わなかったとしても、他の学校に合格できているということは大きな心の支えになります。先に述べたように、二度目の試験に臨む際に自信を持つことができるだけでなく、万が一中学受験で第一志望の学校に合格できなかったとしても、中学受験が完全な失敗だったという気持ちにならずに済みます。公立の学校に通うのではなく通うことのできる私学を確保できるという点も子どもの気持ちとしてはネガティブな気持ちを減らすことができます。

第一志望の学校以外には通うつもりがない、と親子共に思っていたとしても、併願校を受検して合格しておくことはとても意味のあることです。子どもたちにとっても「どこにも合格できなかった」ということよりも「第一志望は不合格だったけれど併願校は合格できた」という方がショックは少ないですし、中学受験の経験を高校受験や大学受験に生かそうとポジティブな気持ちで新生活を迎えられます。中学受験だけでなく、その後の進路や大学受験でのリベンジのためにも、併願校は必要なのです。

選択肢を増やすため

中学受験を考えている段階では子どもたちもまだまだ考えが幼く、わかっているようでわかっていなかった、ということも多いです。中学受験は試験で合格しないと希望している学校に通えない、ということもきちんと理解できているようでも「自分が不合格になる」ということは想像できていないという子も少なくありません。そのため、受験の結果が出るまで、その先のことを想像できていないということもあるのです。

そのため、第一志望しか受験しない、と言っていた子でも、受験が終わって不合格の結果を見てから慌てて「今からでもどこか受験して私立の学校に行きたい」と言い始めるというケースもあります。試験結果が出てから慌ててではなかなか思うような受験ができません。そこで、試験が終わって結果が出てからゆっくりと進学先を選ぶことができるようにするために、複数の学校を受けておくことが望ましいのです。

併願校の選び方

併願校はどのようにして決めていくと良いのでしょうか。子どもたちはもちろんのこと、保護者も納得できて実力的にも妥当な併願校を見つけていくためにはいくつかのポイントがあります。

第一志望を早めに決める

中学受験を決めたら、できるだけ早いうちから学校説明会や文化祭などの行事に参加して気になる私学はチェックするようにしましょう。いくつか学校を見ていくうちに、保護者にとっても子どもたちにとっても行きたい学校のタイプが見つかってくるはずです。まずは、以下のカテゴリーの中で、どのタイプの学校に行きたいか、そして優先順位はどれが高いか、ということを整理していくと第一志望の学校が見つけやすいです。

志望校を検討する際にチェックしたいこと

・男女共学か別学か
・宗教教育の有無
・家からの距離
・学校の校風
・面倒見のよさ
・部活動
・進路、進学実績
・学校の設備
・学校の特色(英語教育や進路指導、留学制度など)

第一志望を決めたら変えない

第一志望が頻繁に変わってしまっては併願校が決められません。早いうちに第一志望を決めたら、特別なことがない限り変えないようにしましょう。逆に言えば、第一志望校というのは何があっても変えないくらい確固たるものでなければならないのです。

併願校は第一志望を軸に決めていきます。そのため、第一志望が決まらないと併願校もなかなか思うように決められません。志望校が決まらないと子どもたちも勉強のモチベーション維持が難しいですし、学校見学や説明会参加に長く時間を割くことになります。効率的に受験勉強を進めていくためにも、志望校探しは集中して家族でしっかりと話合い、早めに結論を出して変えないことが大切なのです。

第一志望を探している間、なかなか希望する条件に合う学校が見つからないと悩むことはよくあります。志望校探しをしていて、完璧に希望に合う学校というのは滅多にありません。家からも近くて、教育方針が家庭の方針と合致していて、宗教教育や男女別学、制服の種類など、すべての項目で希望通りという学校は見つからない、と考えておく方が良いでしょう。

志望校探しでは、すべての条件を満たす学校がないかわりに、妥協できる部分を見つけていきます。単純に「電車の乗り継ぎがあるから」とか「やりたい部活がないから」といったことですぐに選択肢から外すのではなく、一度見学をしてみて、希望の条件を完全に満たしてはいなくても通いたいと思える学校を見つけていくと第一志望が見つかりやすいです。

第一志望を軸に併願校を決めていく

第一志望が決まったら、同じようなタイプの学校で幅広い偏差値の学校から併願校を探して行きます。このとき、まずは日程や難易度は気にすることなく、幅広い学校を見学しておくことが大切です。第一志望よりも難易度が高い学校を入れても構いません。

併願校は最終的に6年生の12月までに決定しようと言われますが、対策する時間を考えると早いに越したことはありません。学習状況によっては、成績が伸びてチャレンジ校も視野に入れられる場合もありますし、逆の可能性もあります。併願校も通う可能性がある学校なので、極力学校見学をして納得した学校を選択肢に入れたいものです。早いうちに様々なタイプの学校を見学しておくと、成績動向を確認しながら直前でも好みの学校を併願に入れやすくなります。

塾の先生がアドバイスした学校はすべて見学する

併願校探しの際、塾の先生から学校を提案されることがあります。昔のイメージや周囲からのうわさで「うちはその学校は好みではないから」と安易に断ってしまう家庭も少なくありません。

しかし、どの私学も生き残りをかけてしっかりと学校改革を進めています。設備を最新のものにしていたり、大学進学対策に注力したり、特進クラスを設けたり、といった取り組みをしている学校も多いです。そのため偏差値表でのアップダウンも激しく、数年前のイメージとは全く違う状況になっている学校もあります。

また、塾の先生たちは日々学校情報を学んでおり、知識も豊富です。第一志望の学校や子どもの成績、家庭の方針といったことから総合的に併願校の提案をしています。そのため家庭の中では話題になっていなかった学校でも見学してみると気に入るというケースは多いです。

もちろん、見学しても併願校の候補にするのは避けたいと思う場合もあるでしょう。しかし、一度見学したうえで併願に入れたくないと思ったならば、その理由を基に他の学校を探すこともでき、建設的な話し合いができますし、塾の先生にも失礼がないです。気持ちよく併願の相談をすることができるようにするためにも、必ず提案された学校は見学して家庭内で話し合う機会を設けましょう。

併願戦略の立て方

併願校を見学して候補が絞れてきたら併願戦略を立てていきます。東京神奈川を中心とした中学入試は2月1日から始まり、学校によっては7日まで試験があります。最近は早くて3日、長くても5日までに受験を終了させる家庭が多いです。長くまで戦うためには合格校があることが大切になってきます。そこで、併願の組み方としては2月2日までに必ず複数の合格をすることができる組み方を考えましょう。

2月2日までに必ず合格をつかむ

2月1日以降の試験では午後入試を実施している学校も多いです。そこで、2日までに合格をつかむためにも午後入試は積極的に活用しましょう。午前の試験が終わってから移動して午後の試験を受けるのは大変そう、実力が発揮できなさそう、といった考えから保護者の中には午後入試に後ろ向きな考えの人もいます。たしかに移動は大変ですし、一日試験を受けるのは疲れて当然です。しかし、2日までに合格をしていない状況で受験を続ける方が大変ですし、思うような結果が出ないリスクが高くなります。

午後入試を受検する場合には、併願校として通いたいと思える学校を選ぶのはもちろんですが、移動しやすい学校や試験開始が遅かったり、2科目受験だったりと少しでも子どもたちの負担が軽い学校を検討しておくとよいでしょう。万が一、午前の試験からの移動が難しくて集合時刻に間に合わないという場合も、遅刻対応をしてくれる学校もあるので、すぐにあきらめず確認することをおすすめします。

1月受験校を志望校とするのはとても有効

1月には千葉や埼玉の学校や地方の学校の出張入試があります。2月2日までに合格を確保するための一つの方法として、こういった1月受験の活用も有効です。合格をしたという安心感が得られるだけでなく、模試が行われない1月中に成績動向を把握する手段としても活用できます。

通学距離や学校の方針が合致している場合には、千葉や埼玉の学校は「お試し受験」という位置づけではなく「併願校」として通うことを検討するのも有効です。1月中に進学予定の学校がある状態はとても心強く、子どもたちも本番の入試にリラックスして挑むことができます。

2月1日の学校選びは慎重に

首都圏入試の初日となる2月1日には多くの学校が試験を実施します。そのため、受験生が分散しやすく、合格しやすい入試とされています。複数回試験を行う学校の多くは2月1日の試験は「志望度合いの高い生徒が受験する」という考えで、合格者数を多めに配分しているケースも多いです。

そこで、2月1日の学校選びは慎重に行う必要があります。第一志望が2月1日の午前しかない場合には、もう他の学校が選択肢に入ってくることはないでしょう。しかし、何回か試験がある場合や、合格には遠いチャレンジ校の場合には、事前に確実に合格できて志望度合いの高い学校を受検しておいて、後から第一志望にチャレンジをするという方法もあるのです。2月2日以降は合格者を絞る、難易度が上がる、というイメージがありますが、子どもたちが先に合格を勝ち取ったことで、落ち着いて試験に臨むことができる環境が整っていれば、2日以降に第一志望に合格できる可能性も高まる場合があるのです。第一志望だからすべて受験しなければならない、2月1日から受験しなければならない、と安易に考えるのではなく、他の学校や子どもの成績を加味して、敢えて2月1日は外すという方法もあります。

まとめ

今回は中学受験での併願校の探し方と、併願の組み方を紹介しました。子どもたちが試験に向けて学力をつけなければならないのはもちろんですが、併願の組み方も合否に大きな影響を与えます。万が一第一志望に不合格になったとしても、納得して通える学校を見つけるためにも、併願校選びは第一志望以上に吟味することを心がけましょう。

併願戦略については、実際に指導している塾の先生と相談しながら、子どもたちの成績やタイプ、志望校の試験日程を確認して最高のパフォーマンスができる併願スケジュールを組むことが大切です。第一志望だから2月1日は外せないとか、通わないから1月受験はしない、とか固定概念にとらわれず、第一志望の試験日に落ち着いて試験に臨むことのできる環境配備を心がけましょう。

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